ばんぶろ。 --やや本格的楽曲考察ブログ

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全曲解説:『リリィ』・・・"弱い自分"を包み込んだもの。

#015 リリィ
---"弱い自分"を包み込んだもの。
 ファンタジー色の非常に強いこのアルバムの中では、「続・くだらない唄」に続きやや異色の曲だ。曲順で見ても「K」と「Ever lasting lie」に挟まれており、アルバム全体の世界観の濃さをある程度和らげる効果を持たせているとも言えるだろう。現代を舞台にした、不器用な主人公と、それを優しく見つめる"リリィ"の物語だ。再びここで、藤原の私小説的な要素がぐっと強くなる。

 主人公は歌い手だ。ステージに立ち、観客からの熱い目線を浴びる存在だ。一見ヒーローに見えるこの歌い手は、しかし一方で自己矛盾に苦しんでいた。自らの歌が<思うように伝わらな>いジレンマ、ステージの後に訪れる不安と焦り、築き上げた自己像と現実との隔絶――、挙句には、分身であるはずの自分の歌にすら攻撃されてしまっている(念のため補足するが、<「大言壮語も吐いてやろう」>は「バトルクライ」からの引用である。ちなみにこの曲は「LAMP」のカップリング。のちにメジャー版の「FLAME VEIN」に収録されたので作曲された時期は正確には不詳だが、もしもレコーディングがLAMPと同時期だったならば・・・、たった数ヶ月前に作った曲にすら、藤原は不審と矛盾を感じていたことになる。とてつもない精神状態・・・)。しかし、歌い手としての不安を感じながらもギリギリのバランスを保ってきていた主人公を、優しく見つめる存在が居た。"リリィ"である。

 "リリィ"は主人公を、徹底的に見透かしている。弱い自分に狼狽し怯える主人公を「<かわいいヒトね>」と言い、ぶつけてくる愚痴の裏側にあるホンネをすぐ見抜き、優しくねぎらいの言葉を与える。その言葉ひとつひとつにドキッとさせられる主人公と、相変わらず幸せそうに微笑む"リリィ"。そんな二人の様子が、前半では描かれている。

 この曲で注目すべきなのは、ラストを"二人の別れ"を暗示させるものにしている点にある。どんなに騙そうとも見透かされ、自分の"格好つけ"すら通用しない、ある意味で自分を揺るがしかねない脅威の存在、"リリィ"を、主人公は強く突き放そうとする。

<ポケット一杯の弱音を 集めて君に放った
強がりの裏のウソを 放った ぶちまけた>

 この後に及んでも自分を必死に繕おうと、"リリィ"にすら嘘を重ねる主人公。口調はしだいに激しくなり、息は荒くなる。どなり散らし、罵倒し、"リリィ"を攻撃していく―――。直接的にはこのような描写は無いのだが(笑)、<ぶちまけた>で歌詞を止めたまま激しい間奏に入り、その主人公に対しての"リリィ"の応答も最後まで描かれていないので、このような方向に想像することは可能だろう。全てを見透かされる存在への、必死の自己防衛である。その後、ふたりは―――駅のホームで<別れ>る。おそらく何度も繰り返されてきたふたりの駅での別れを、ここではかなり強調して描いている。

 最後の<君は笑った>の箇所に、主人公の心の変化が見て取れるだろう。「こんなにも深刻な俺を、何でこいつは笑えるんだ!」と思わず"リリィ"を怒鳴り散らした冒頭、歌(=自己から生まれたもの)――からすら脅されている主人公を、微笑みながら<「格好いいよ」>と肯定してくれた中盤・・・この時、<君は笑った>の手前の歌詞は、<ところが>だった。<ところが君は笑った>という一節からは、もはや説明不要であろうが――"リリィ"の思いがけない言動に戸惑う主人公が見て取れる。だが最後、(もしかしたらこんな存在は、俺の人生の中でも<最初で最後のヒト>かもしれない)と頭をよぎった主人公が、<確かめたいコトがあるんだ>と、ふと振り返る。その先でも、<やっぱり>、"リリィ"は笑ったのだ。そこには、<ところが>の頃のように、"リリィ"の行動が理解できなかった主人公は居ない。主人公は"リリィ"を、「<別れの傍で>も笑ってくれるはず」と信じたのである。自分にとって脅威であり、不可思議な存在だった"リリィ"を、ここでようやく主人公は信頼出来たのだ。

 同時に、"リリィ"に対しての想いは主人公を変えた。<「最初で最後の恋人」>という言葉は様々な解釈が出来る。「キミは最高だ!」とも、「僕が恋をした存在は君が最初で最後だったよ」ともとれる。ただ、"リリィ"自体の描写は"改札での別れ"以降はない。かわりに、叫び唄い続けることを決意した主人公の独白でこの物語が終わる。"リリィ"とのその後を描いていないことからも、やはりこの物語は二人のラブストーリーではなく、「ある一人の存在に支えられたもう一人の人物の物語」だった、と考えるのが順当ではないだろうか。ステージの上の"格好良い"自分と、ステージから降りた後の弱っちい自分とのギャップに苦しめられていた主人公は、その両方をも包み込む存在に救われ、最後には"飾らない自分"を唄うことに成功するのだ。

 アルバムの中の一曲としての位置づけをするにしても、この曲は重要な意味を持っている。このアルバム全体には、藤原の、歌い手としての自信喪失を感じさせる詞が随所にあるが、この曲では、その問題に自ら答えてみせることに成功しているのだ。この曲を書けたことは、藤原にとっても大きな救いだったのではないだろうか。

歌詞引用一覧歌詞の扱いについて
<>内はすべて、「リリィ」 作詞作曲・藤原基央
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  1. 2007/08/17(金) 23:29:58|
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